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ブラインドスポッティングのyksijokiのレビュー・感想・評価

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)
4.7
今年ベストかも。観ている側が感情をどこに置いたらいいか分からなくなる。さっきまでケタケタ笑ってた心が唐突に締め付けられて涙が溢れてくる。そんな映画でかなり心を揺さぶられた。

スパイク・リーへのリスペクトをすごく感じた。作品のテイストもだし黒人である主人公が目の前で間接的に人種差別を食らうシーンという共通テーマを持ってして強いメッセージ性をこちらに突き出してきている感じがあった。

Uberでパーティーに行ったり、ヴィーガンバーガーや青汁ドリンクが出てきたりと2019年のアメリカ・オークランドをしっかりと表現しながらもそこに確実に取り残されたままの差別、軽蔑心が浮き彫りになってくる。特にあの呼び名のシーンはグッと来た。

主人公のコリンはフリースタイルラップを日常的に使い、面白おかしく言葉遊びをする。表現としてのラップが最後に爆発する瞬間、観ている我々の胸元、心臓に銃口が突きつけられる。思わず心が震えたし、あのシーンは何度でも観たいシーンになった。

タイトルの意味も最後にガツンと突きつけられ、色々なものをお土産に、でも不思議と深く暗い気持ちにはならない映画でエンターテイメントとして非常に重厚かつ丁寧な作品だった。オークランドの歴史や文化、ヒップホップをもう少しなぞってからもう一回鑑賞したい。
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