dita

ジョジョ・ラビットのditaのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
3.0
自宅27

いい映画だと思った。でもわたしは戦争を知らないし母親でもないのでこの物語をどう取ればいいのかわからなかった。

単純に強い者や格好良い軍服に憧れる男の子。誰も彼を怒らない。なぜならほんとうは優しい子どもだと知っているから。この映画(に限らないかもしれないけれど)はどこまでも善意や愛の上に成り立っている。

最後に彼は自ら考え、できることをした。でもそれは、信じていたものが敗れたからだ。母親が子を諭さなかったのは生きてほしかったから。彼女が彼を赦したのは優しさをくれたから。わたしだって、必ず最後に愛は勝つと信じたい。でも、思想に命をかけなければならなかったり出自だけで殺されることが当たり前だった時代に愛で人を導き、愛で人を生かすことはとても難しいと思うし、結局彼が成長したのは彼が気付いたのではなく状況がそうさせただけだったのではと邪推してしまった。所詮まだ10歳、もしも歴史が違っていれば彼は気付けたのだろうか。できることをする人間になれたのだろうか。

あとこれは完全に男目線の物語だと思う。強き母、優しき初恋の人、子どもを作れと教育された女の子が戦う姿、女は少年の成長や気付きのために存在するんじゃないんだよ。

なんでこんなに文句ばっか書いてるんだろ…いい映画だったのに。
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