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ジョジョ・ラビットのacco224のレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.0
ママがひざまづいて蝶々結びにしてくれていた靴紐を、蝶を羽ばたかせた女の子のためにひざまづいて結ぶ。愛は、最強。


靴紐も自分で結べない10歳の男の子の視点を通して描かれる戦争映画。
子ども目線なので映画全編通して語り口は軽く、観やすい。

ジョジョは可愛くて優しい反面、盲目的にヒトラーを敬愛していたり、ユダヤ人へのぶっ飛んだ偏見を鵜呑みにしてしまえる。まだ無知故に戦争そのものに対して全然疑問とか抱いてない。
そんなジョジョが家の壁の中に匿われている年上の美しいユダヤ人少女のエルサと出会って、やり取りを重ねる中で、脳内のヒトラーへの忠誠心とエルサへの幼い恋心の間で葛藤していく。
けどまぁ、やはり戦争映画です。街は破壊されるし、大切な人は呆気なく奪われるし、あるいは大切な人の犠牲をもって生かされたりする。直接的ではなくても心抉られる。

戦時下で、美しく気高いのがジョジョのママ。「(恋について尋ねられて)お腹の中を蝶が飛び回ってるみたい」「愛は最強」名台詞の数々。特に、エルサと「大人の女ってどういうもの」という話をするシーンはめちゃくちゃ素敵。あの虎はルソー?

ジョジョの家の中やママの服装(印象的な靴)も、音楽も、詩を引用したりするのも、戦争映画なのに画面の色使いが明るくてオシャレ。

解放されて、踊るエルサはきっと、ジョジョのママのような、苦しいときにも笑顔を見せて、目の前の人を抱きしめられる大人の女になるんだろうな。
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