自由という大海原へと駆ける若きウサギの成長記。
こういう映画を作れる懐の深さが日本と世界との違いに違いないという的外れかもしれない感情に襲われていった。
この作品は子どもを戦争の当事者として描き切っている。日本はどこか子どもを神聖視していてこういう描き方を実写ですることはかなり稀な気がしている。
でも、実際の世界ではこんなのは悲しいかな当たり前に起きていることであり、そこに目を背けずに描き切っている胆力が恐れ入る。
ナチスに憧れる少年ジョジョは、ヒトラーに憧れイマジナリーフレンドとして現れるほどに傾倒している。そんな折、彼は母がユダヤ人の少女を匿っていることを知る。
題材だけ考えるととんでもなく重い作品にも関わらず、それを感じさせない序盤の爽快さ。終盤に近づくにつれ重くはなっていくが、歩みを止めるような重さではなく、淡々と、でもきちんと観ている側に届くように作られていると感じた。
ファシズムの強さはまさにこの洗脳にあったのだと、日本国民としてはうーむと唸らざるを得ない納得感を随所に感じる。
そんな染まり切った10歳の少年が、人との繋がりを通して、世界を、人を見つめ直す。
序盤はどこか調子ハズレなほどの明るさとブラックコメディな要素を全開にして拍子抜けしてしまうほどだったが、きちんと全てがハマっていくように作られていてさすがタイカワイティティ。。!!!となった。
監督してる人知らなくてエンドロール観てびっくりよ。
別に伏線回収をしているとかではないんだけど、ちゃんと全部が収まって見ていて爽快感が半端なかった。
戦争成長コメディ映画?みたいななんともけいようしがたい独自な映画体験を味わえた素敵な映画だった!
自由だから踊れるんだ。