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ジョジョ・ラビットのsensatismのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.8
2020/16
“What do we do now?"
身体を揺らすジョジョとエルサ。
幕引きに相応しいDavid BowieのHeros。

大好きなED。
随所で涙がこみ上げてきたけど、ラストシーン、2人がダンスをしている姿に自由と解放感を感じて泣いた。
ちなみにHeroesはボウイがベルリンの壁で落ち合う恋人たちを見たことがきっかけで生まれた曲らしいです。

1945年、WW2下のドイツが舞台。
主人公はアドルフヒトラーがイマジナリーフレンドのナチズムに傾倒した少年ジョジョ。

『帰ってきたヒトラー』でもそうだったけど、ヒトラーを愉快な人間として捉えることで映画に対する警戒度が薄くなる。

ジョジョは空想的な男の子であったと同時に彼の身体と精神にどれほどヒトラーナチス政権制度が浸透していたのかということが幻のヒトラーを通してありありと分かる。例えジョジョのようにヒトラーがイマジナリーフレンドでなかったとしても民衆の心に棲みついていたのだろう。
ジョジョが困難にぶつかった時や悩みを抱えている時は必ずヒトラーが現れて助言する。それはジョジョが自分自身の目で見て経験したこととナチス政権の元で教えられてきたことにギャップを感じて、比較・反芻しているのではないかと思った。まだ10歳の柔らかい心の持ち主は自分が見て聞いて交流して感じた「正しいこと」を選択して最後ヒトラーを窓に蹴り落とす。終わりを告げたのだ。

人間関係が多様で、登場人物も多角的に描かれていたから、よりキャラクターに気持ちを重ね合わせることができた点が良かった。
ジョジョはナチスと忌み嫌っていたユダヤ人の間で考えかたが揺れるし、ママはナチズムの息子を育てながら反政府活動を行ってる。グレンツェンドルフ大尉は国の為に闘いながらもエルサをゲシュタポの手に渡すようなことはしなかった。みんな人間としてのぶれがあって良かったな。

どうしてお姉さんのインゲが亡くなったことを周囲に秘密にしてたの?
大尉はどっぷりとナチズムに浸かった軍隊で働いているのにエルサを密告しなかったのは何故?「人間の多面性」という言葉だけで説明できるのかな?
エルサはジョジョのこと恋の相手として好きだったのかな…。「醜い」と自分の顔を否定するジョジョに「そんなことない。似顔絵描いてあげる」のシーンだったり、「キスしてあげようか?」の台詞だったりてっきり二人がくっつくのかと予想してた。
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