ヴィクトリー下村

ソルフェリーノの戦いのヴィクトリー下村のレビュー・感想・評価

ソルフェリーノの戦い(2013年製作の映画)
3.9
2012年、フランスの命運を決める国政選挙の日。世間が選挙で盛り上がる裏ではある元夫婦の争いも勃発していた…

監督は2月23日に公開予定の『落下の解剖学』のジュスティーヌ・トリエ。

今作は観るのは2回目(前回はユーロスペース。今回はJAIHOで)
前回観た時も思ったがやはり面白い。
けたたましく泣く子供の声から一気に物語に引き込まれる。

この映画、見どころは実際の国政選挙の様子をゲリラ撮影した映像が使用しているところ。だから人々の熱気や迫力もすさまじい

この人々の狂騒っぷりも面白いが、その裏で行われる元夫婦の争いも面白い。この映画観ると、日本とフランスの文化の違いを改めて思い知らされる。

フランス人の政治に関する高さもそうだし(これはフランスに限ったことではないが)、気持ちをこれだけぶつけ合う姿も日本ではなかなか拝めないと思う…

選挙の結果が近づくにつれ高まっていく熱気とともに夫婦の諍いもヒートアップしていく。国を分けるほどの争いと夫婦の争い。スケールの違いはあれど諍いの本質は同じなのかもしれない。

手持ちカメラによる映像が混乱っぷりを表してくれる。
最初は妻側に立って観ていたが見続けていくと「この2人、どっちも似た者同士なのかもな」という気持ちになっていった。
「争いは同じレベルの者同士でしかおこらない」これもよく聞く言葉だがまにその通りなのかも。

後、元夫役を演じたバンサン・マケーニュが良い。行動は激しいんだけどどこか愛嬌があって刺々しさが薄れている。

映画のほとんどで喧騒が続くので、深夜の争いが止んだ後の穏やかな場面(友人がレコードで音楽掛けるところ)がとても心地よかった。