「宇宙でいちばんあかるい屋根」で惚れた藤井道人監督作品、
そのくらいの軽い気持ちで見始めたから、
こんなに骨太でシリアスで、エンターティメント色が全くない映画であることに驚いた。
冒頭の方は少し退屈だったけど
記事を書くことが決定してからの、一連の流れが特に素晴らしいと思った。
へんに盛り上げる音楽を入れず、たんたんと記事を書き、ゲラが上がり、
輪転機が周り、新聞が各所に配られる・・
途中で妨害があるかと心配していた私は、ひやひやと気を揉み、
輪転機が回ったところでホッとしたりした。でも安心はしていない。
そして最後のシーン。
憎い演出だな。
はっきりさせないことが、つまり現実なんだよ、と言われた気がした。
正義が勝つ、やったすっきり、という映画じゃないんだよ、と。
もやもやさせることが、きっと狙い。
でも、いやじゃない。
普通の映画なら、こういう終わり方は好きじゃないけど、これは別だった。
こんな宇宙の端っこにいる小さな私でさえ
世の中の「闇」を感じるような時代になってる。
なにかに気づいた人から、できることを始めたらいいと思う。
そんな（わけのわかんない）ことを小さく誓った映画だった。
