千彩

新聞記者の千彩のレビュー・感想・評価

新聞記者(2019年製作の映画)
3.4
Filmarksの試写会にて、一足先に鑑賞。

主人公・吉岡の勤める東都新聞に、極秘情報がFaxで届く。特区を利用した大学新設の許認可先が内閣府であり、運営する民間企業が「総理のお友達企業」であることから、「裏がある」と取材を始める吉岡。一方、内調の杉原は、元上司の自殺が大学新設に絡んでいたと知り、真実を探し始める…。

大学新設、文書改ざん…現在進行形の社会問題をふんだんに盛り込み、斬り込む、意欲作。いやー、よく作ったな。とエンドロールを見ながら感じてしまう時点で、今の日本のヤバさが我が身にも染み付いている。
デモ参加者の写真を示して、身元調査をしろ、というシーンにはゾッとした。自分も官邸前のデモに参加したんでね。
あの恐怖は、参加した人にしかわからないよね…嫌なスリルだな。

しかし、映画としては…
…さて、どう咀嚼して飲み込めばいいのだろう。
困ったな、という感じ。
つまらなかった、わけじゃない。約2時間、飽きずに見られた。むしろ、楽しんだ。

たぶん、もっと濃いものを想像してた…というか、期待していたんだと思う。
薄い…そう、「薄い」んだよなぁ。もっと、ストーリーに厚みが欲しかった。一本道を歩いていて、その道はそれなりにハラハラしたりするけど、ただなんとなく歩いてるだけで、急にゴールに辿り着いちゃった、という感じ。
うーむ。


見ていて(いい意味で)気になったのは、主人公の新聞記者・吉岡の描かれ方。
こんなに「女性」であることを強調されない女性主人公って、見たことがない気がする。女を捨ててるとか、男っぽいってことでもなくて。彼女と職場の雰囲気、憧れるな…
演じるシム・ウンギョン氏のことは、「新感染」のゾンビしか知らないので(あれは顔もよくわからない)、この人がシム・ウンギョンかー、と新鮮な気持ちで見られた。
千彩

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