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新聞記者のnatsumeのネタバレレビュー・内容・結末

新聞記者(2019年製作の映画)
2.6

このレビューはネタバレを含みます

松坂桃李のような人気俳優が主演することで、こういう社会派の映画を普段観に来ない人が観に来るきっかけになるというのはいいことだと思う。

ただし作品としては良くも悪くも地味で、始まってすぐにどういう展開になるかもある程度読めてしまうので、途中ちょっと眠くなってしまった。この展開が「読めてしまう」政治的社会的な状況に警鐘を鳴らすという作品でもあるので、メタレベルでの緊張感はある。

ただ、ほんと作りとしては惜しいなと思う。せっかく足を運んだ人たちにとって、あまりにも「遠い世界の話」にしか見えないのであれば、公開した意味が半減するのでは。

作中、実際の政治スキャンダルをアレンジしつつもわりとそれとわかるような形で見せているが、その事件の中には中央ではなく地方の役人が「自殺」扱いで犠牲になったケースも含まれており、それをなぜ霞ヶ関官僚内の話におさめてしまったのか、っていうところはほんと疑問。

ロケする費用がなかったのかもしれないけど、これを「地方のお役所の人」が犠牲になる話にするか「霞ヶ関の官僚」の中だけの話にするかで、みた人が「自分の身にも関係ある」と感じるかどうかは大きく異なると思う。

シム・ウンギョンの地味だけど芯の強いヒロインのキャラクター造形は素晴らしい。こういうリアリティのある芝居ができる若手女優、今の日本には残念ながらちょっと少ないな…と思う。本田翼パートは、もうちょい無名の女優さんで良かったんでは。彼女のせいではないが、夫婦のシーンだけトレンディドラマのようになっててなんか気が散った。

スコアは映画作品としての出来というより「作って公開した」という監督プロデューサーの志に対する評価、という部分が大きいです。
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