Inagaquilala

轢き逃げ -最高の最悪な日-のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.4
神戸をモデルとしたと思われる坂の多い街で起きた轢き逃げ事件をめぐるミステリー仕立ての作品。結婚式の打ち合わせのために、車で急いでいた秀一は、近道をした下り坂で、ひとりの女性を轢いてしまう。結婚式を目前に控えていた秀一は、同乗していた友人の輝とともに、事故現場から走り去ってしまう。その秀一と輝のもとに、現場を目撃したことを示すような手紙が届く。一方、事故の被害者はまもなく息を引き取るが、その父親は真相を追求すべく、独自の調査を始めるのだが。

実は、観賞中に脅迫状の送り主が誰であるか気づいてしまった。最初から演技にもわざとらしい引っかかるものを感じていたので、ドンピシャで当たってしまった感じだ。純粋なミステリーであるなら、その時点で興味は半減するのだが、この作品は、むしろそれより、轢き逃げの加害者と被害者である父親の心模様の演出に重きを置いているように感じた。監督は父親役も演じている水谷豊なので、その推察は当たらずとも遠からずだと思う。加害者の婚約者役を演じている小林涼子が、演技者としての新しい面を覗かせている。冒頭の、たぶんドローンによる空中からの移動撮影他、監督しては前作より進化が見られる。ただ、まだ無駄なシーンも多く、もう少しコンパクトなつくりにしていれば、引き締まった作品にもなったように思う。
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