桃子

世にも怪奇な物語の桃子のレビュー・感想・評価

世にも怪奇な物語(1967年製作の映画)
3.7
「一粒で3度美味しい」

ドロン様目当てで昔見たことがある。でもやっぱりなんにも覚えていないので、ドロン様目当てに再見した。なぜ昔見たことがあることがわかったかというと、片付けをしていたら昔映画を録画していたVHSが大量に出てきて、その中にこれがあることが判明したからである。WOWOW等で放映された映画をせっせと録画してはあとでのんびり見ていた。16、7年前のことだと思う。以前にも書いたと思うのだが、当時は今と同じくらい映画に没頭していて、自分で立ち上げたHPにレビューをガンガン書いていた。懐かしい…
見たことがあるのに全く覚えていない映画を見るのは、悲しいようでいて嬉しい。そう言えば、淀川さんは昔見た映画を再見しないで批評することがあったようだ。なので、レビューを読むと「そこは違うじゃない」ということがよくある。人間の記憶は脆弱なのだ。うろ覚えでレビューを書くのはNGだけれど、淀川さんクラスになると許せてしまうなあ…
3つの短編から成っているオムニバス映画である。原作はエドガー・アラン・ポーの短編小説。3作とも読んだことはない。ポーの短編集も持っているし読んだのだけれど、残念ながらその中には収録されていなかった。マニアックなストーリーなのかも。
最初はロジェ・バディム監督の「黒馬の哭く館」。3つの中では一番好きかもしれない。若き日のジェーン・フォンダが美しい!弟のピーター・フォンダと共演している。ジェーンは当時監督の奥さんだったので、最高の状態で撮られている感が否めない。衣装もきわどいデザインで、思い切りエロい。監督の嗜好が丸見えの怪作だ。
2番目はルイ・マル監督の「影を殺した男」。ドロン様が嫌なヤツといい人、両方を演じている。ドロンはひとつの映画の中で二面性を演じるのが好きなのだろうか。それとも、たまたまなのか。どちらのドロンもたまらなくかっこいい。
3番目はフェデリコ・フェリーニ監督の「悪魔の首飾り」。一番シュールである。当時28歳のテレンス・スタンプは実にイケメンで、アブナイ感じもよく出ていて見応えがある。それにしても、昔はお酒を飲んで車を運転するのなんて、普通のことだったんだなあと思い知らされる。「汚名」にも出てくるし… 
同じ原作者の短編を映画にしているのだが、3人の監督の個性が炸裂していて非常に面白い出来になっている。おもむきはそれぞれ違うけれど、共通点は「鬼才」ということかなあ。一筋縄ではいかない、少し変態っぽいところのある監督さん3人である。1度に3本見られるし、お得な映画である。超おすすめ!!
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