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天気の子のqiricaのネタバレレビュー・内容・結末

天気の子(2019年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

家出して帰る家もお金もない田舎少年の孤独な雨空をある日突然晴れに変えた少女。彼女も失った愛や苦しい生活、守りたい希望を一人で抱え込み、大切な心の順番や選択が分からず積み重なった大きな水溜りに溺れていた。そんな彼らが東京で信じた意地を通し強く息をしながら犠牲を払い得て千と千尋みたくスカイダイビングするお話。‬
脚本、絵コンテ、リアルな大都会、カットの繋ぎ、音楽、全て含め扇情的な映画でした。展開はやや早く、内容がぎゅっと詰め込まれていて、もう少しゆっくり観たかったかも。

あと父と二人で観たのですが不覚にも泣いてしまい、一人で来ればよかったと後悔した。
セクシーな女性の胸や新宿の夜の街、風俗広告トラック、スカウトに付いて行く誰にも頼れない若い女の子、ネカフェやマクドナルドを転々としたり、孤立者や貧困層から見た東京の冷たさや厳しさがものすごく伝わってきた。脚本は創作の世界なのに細かい描写がとても美しく現実的で、子どもと大人の目線、両者に寄り添っていたと思う。
親に何も言わず一文無しで上京し夜の仕事をしていた18歳の頃を思い出し、父の横で少し気恥ずかしい気持ちになった。

父は君の名は。の方が好きらしいが映画は比べるものじゃない。その映画で感情が動いたかどうか、それだけだ。私は紛れもなく感動しました。
全ては救えない。だったら大切な人だけでも守ろう。と正義と戦うことは悪なのでしょうか。

京アニの事件や世界中で罪のない命が毎秒失われ、塩辛い雨が降り続く黒い雨空の下に情熱と希望の陽を与えてくれた気がします。プレッシャーのなか、監督や映画関係者の皆さん本当にありがとうございました。
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