すずき

2分の1の魔法のすずきのレビュー・感想・評価

2分の1の魔法(2020年製作の映画)
3.7
妖精やドラゴン、一つ目族など様々な種族が住む世界。
この世界にはかつて魔法が存在したが、機械文明の発達により、今や我々の世界と同じような生活をしている。
主人公はエルフ族の内気な少年イアンと、無職の兄バーリー。
イアンは16歳の誕生日に父親の残した手紙と魔法の杖を受け取る。
手紙に記されていたのは、1日だけ死者を現世に呼び戻す魔法。
だがその魔法は失敗し、父親は下半身だけの姿で復活してしまう。お母ちゃんはそれで満足出来るやろうけどな!ガハハ!
父が現世にいられる1日の間にその姿を完全にする為、魔法の再使用に必要な賢者の石を探して兄弟は旅に出る…(曲・ポルノグラフィティ「メリッサ」)

ピクサー長編アニメーション第22作。
ファンタジーを舞台にしながら、現実世界のような世界観が独特。
気弱な主人公が行く先々でトラブルに見舞われながらも、兄に背中を押してもらいながら魔法の力と勇気でもって乗り越えていく、若者の成長ロードムービー。

序盤は世界観や主人公の設定を語るのにやや忙しなく、中盤は主人公の成長の為に配置されたアクシデント感が強かった。
特に気になったのが、「透明な橋を架ける」魔法。
主人公に勇気を振り絞って一歩踏み出させる、という行動をやらせたい為に、そんなまわりくどい魔法の効果にしたのかな?って思っちゃった。
しかし後から考えると、魔法の効果自体は空中歩行というオーソドックスなものだから、言い方の問題か。

後半からは父親に会う為の冒険から、兄弟の絆へと自然にスポットライトが当たる。
ダメな兄と才能溢れる弟、という関係は「シング・ストリート 未来へのうた」を思い出した。
そして伏線もキレイに回収してクライマックスに繋がり、そこからオチの落とし所も良かった。
締め方が上手いと気分も良いのでスコア+0.1!

悪かったのは、主人公の母親役を担当した、近藤春菜による吹替。
声も滑舌も悪くなくって、基本的な演技は出来ているんだけど、妙に不自然な、台本を読んでいる感のある演技。
声優以外による棒読み吹替演技はいくつか見てきたけど、これはちょっと今までとタイプの違う下手さ。
サブキャラと言えど、意外に出番が多く、クライマックスにも見せ場があるキャラなので終始モヤッとしっぱなしだった。