堊

HELLO WORLDの堊のネタバレレビュー・内容・結末

HELLO WORLD(2019年製作の映画)
1.8

このレビューはネタバレを含みます

倒れ込んだ際に下半身だけを映し、その間をくぐり抜けるようにして落ちる本のカット、手持ちカメラ風に揺らしながらスローでヒロインが振り返るカットが良かったぐらい。根本的に音に対する配慮が皆無なので図書館も祭り会場も、宇宙空間も、BGMを垂れ流すわけではなく等価でオフの音がないので違和感が凄い。ガンダムSEEDの総集編回のように10秒前にやった回想をもう一度同じ素材で繰り返してて懐かしい気持ちになった。登場人物の目的を視聴者と共有させることを漢字ドリルのように掲げてる気がする。
『あした世界が〜』とかなり同じ話だったのでびびった。元は『ノエイン』〜『雲の向こう』ラインの話ではあるが。
伊藤監督は今作でも「AR空間で全能になる主人公」→「それが失われることになる無力感」を妙にフェティッシュにやっている。会話のつなぎのぎこちなさも相変わらずだが師匠筋の細田的な家父長制礼賛とも妙に違う方向性のようで面白い。

屋上のシークエンスがやたら出てくるが、何度も見るほど『薄暮』との差を感じてヤマカンアゲなきもちになる。「イーガンで読んだやつだ!」をやるために用いられるハヤカワ文庫たち。高所恐怖症を名乗るヒロインが主観カットと共に倒れるのをちゃんとやってからサイケ空間でのジェームズ・スチュアートの顔ドーンをキメててすごい雑な『めまい』オマージュなんだけど嬉しい。+1.6点。
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