大島育宙

犬鳴村の大島育宙のレビュー・感想・評価

犬鳴村(2020年製作の映画)
3.3
『忌怪島』(村シリーズとは関係ないので本当は予習不要)に向けて自己満足のために再見。

今見返すと『呪怨』から引き継がれてる清水崇的なモチーフと言うか癖が幾つもある。電話ボックスの中での悲劇とか、動物(ウサギ/犬)との交わりとか…。

ちゃんと怖いシーンが何個かあり、
「水のないところに水」というコンセプトの通貫と「この先日本国憲法通用せず」のコペルニクス的転回解釈が素晴らしい。


〜以下、大量にネタバレあり〜

・尿のくだりはやっぱ凄い。冒頭で尿っぽいミスリードがあるのが効いてる。
・からの…落ちてくる!最高!不自然なくらいひしゃげた死体を長く映すのも良い◎
・じっとりとした葬式シーン、ちゃんと重厚。寺田農の声、最初から溺れてるじゃん…となる。
・バイクが止まった彼とその友達、電話ボックスの中で水が上がってくるまでの一連はマジで秀逸だった。その後に客観視点で村人を見せすぎなんだけど、翌日3人ともボックスの中にいるというプラスワンアイデアが◎。
・三吉彩花の1人ドライブ。洋画ホラーの趣。ボンネットに落ちてくるのは繰り返しなのにやっぱジャンプしちゃうスケア。
ミラーに映る、ノロノロした感じなのに車に張り付いて走ってくる3人?くらいの亡霊の一瞬のカットがナイス。後部座席に乗ってきちゃうのはやりすぎ!
・村の忌まわしい過去をまとめたビデオ、誰が撮って編集したんだよ!と思うけどわかりやすすぎて清々しい。このビデオ内でのロジックが素晴らしい。「日本国憲法」の看板は村の外から設置されたものだったのか…差別の歴史。ホラーを描く意味への自己言及。

その他は「もっと早くカメラ振ってくれれば怖かったのに…」という映しすぎショットがとても多い。しばらく映ってると「…いや、こわくないこわくない」とカームダウンする間ができてしまう!

過去の人物を見れちゃったり会えちゃったりするくだりも多くて冷めるんだけど、最後、助けた赤ちゃんが自身の血に繋がるところはめちゃくちゃ面白かった!

オリジナル脚本の長編ホラーとして良作だと思う。