オル

AI崩壊のオルのレビュー・感想・評価

AI崩壊(2020年製作の映画)
3.5
予告のイメージとの齟齬があり消化不良。

キーヴィジュアル詐欺、予告詐欺、フレーズ詐欺。何ということだ。

AIものの1つとしては一見の価値はあるかもしれない。

スマートホンが急激に普及してしまっている現代に於いては起こり得る危機ではあるのだ。

誰がスマートホンがここまで普及すると予測できたであろうか、誰がこの技術社会の躍進を想定に入れていただろうか。

そして、むしろそのAIよりも危惧すべき内容が含まれている事にお気付き頂きたい。

AIが危険なのではない。

さぁさぁ

賀来賢人が出てくると笑ってしまう病は将来、AIが治してくれますか?

ご本人の印象が強すぎて笑ってしまうのです。

さて、この作品は「AI」についての物語。「AI」とはArtificial Intelligenceの略称で日本語に訳すと「人工知能」と言われるもの。

様々解釈あるようだが究極の形は『ドラえもん』と答えるのが正しい模様。

要はドラえもんが暴走して人間を滅ぼそうとするようなもの…ん?割りと漫画版ではあったような展開ではないか…。

アトムと言う例もネットで見つけたので『アトム』にしておこう。

アトムが暴走して人間を殺戮し始めたらどうなるか、ずばりこれ。

主人公が高度なAIを作り上げてしまった事により、AIが管理する医療により超高齢社会に拍車がかかり、便利な世の中と引き換えに産業革命当時のような荒んだ経済が生まれた。

劇場予告を見る限りでは、高知能AIを発明した主人公が何故かAIに命を狙われる。

そこに関わる陰謀とは如何に…。

という受け取り方をしていたが全く違った。

この展開を期待していた為か、盛大に肩透かしをくらった気分。

皆様方は予告をどう受け止めていらっしゃったのだろうか。

ジャンルをどう受け入れるかでこの作品は評価が変わる。

個人的にはクライシスものを期待したので肩透かしをくらってしまった。

ミステリーとも違う。

ミステリー要素は含んでいるがあまりにも酷い。

ともすれば、ジャンルは決めかねる。

もしも、デジタル社会の反乱のようなものをご覧になりたいのであれば洋画『ターミネーター』アニメ『サマーウォーズ』『デジタルモンスター』等をオススメする。

この映画もやはり役者に救われたと言わざるを得ない。

主役の大沢たかおから脇を固める役者陣、演技派ばかり。

何なら三浦友和と広瀬アリスのバディものをスピンオフでやってほしいくらい。

刑事ものとしてはありかな。

シンギュラリティ云々、その他人工知能の反乱に関しては『仮面ライダーゼロワン』に振ってしまってOK。

この映画はAIが人類を豊かにし、一般的に普及され、そしてAIが人間を管理する危機よりもその手前の段階の危惧が描かれている。

AIを生み出した人間という存在の危うさがAIの危うさに繫がるのだという事を言いたいのだろう。

以下、ネタバレと自我崩壊














違うよ!違うんだよ!観たかったのはこれではない。

全くAIの反乱ではなかった。

むしろ、マイナンバー然り、国家が国民を管理しようとする姿勢に対して警鐘を鳴らす作品であってAIは隠れ蓑でしかない。

そういう見方をするとこの作品の評価はグッと上がる。

でも、こっちはAIものを期待しに来てるんだから、やはり違うんだよ。

人工知能が自らの意志をもって人類選別の道を選ぶような成長を見せるのかと思ったら違う。

しかも、犯人がバレバレ。
というか全陰謀そもそもがわかりやすい。

極めつけはフィクションですという無駄なアピールが如き、長尺な逃走劇。

もっというと物語の為にキャラクターが動いているだけで整合性の欠片も見出だせない。

船の上では狙撃したのに直接対峙した際には確保すらしなかった。

これは大きな失態。

日本の警察の杜撰さを皮肉っているのなら喝采。

逃げるシーンに時間を裂きすぎて2時間半はいくらなんでも長すぎる。

AI崩壊ではない。

これは人智の及ばぬところの話ではなく人智が如何にAIを操作するかという面だけしか見えなかった。

役者の演技が良かったから低評価はしないけど、2度観たいとは思わないし、集中してみられたが役者の演技についてのみ。

賀来賢人1度、撃たれ息も絶え絶え、2度目で即死かと思いきや、余裕で喋る。

もはや、コメディ。

AIものの1つとして参考までの鑑賞はオススメする。

最後の大沢たかおの解答。
あれは、言い換えられていない。
人間がAIを生み出したのでAIが人間を幸せに出来るか?と問われたら言い換えは子供は親を幸せに出来るか。

あの解答は真逆であった。

そして、親は子供を幸せに出来るか。
これは決してイエスではない。

逆に子供は親を幸せにできるか、これはイエスだ。かけがえのない子供がいるだけで親は幸せなのだと思う。

だから、最後の最後で違う答えを導き出してしまったと思う。

解答自体、間違いではないのだが、そうじゃない。

うわあぁあぁぁぁぁ!

こんな作品だった。
オル

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