回想シーンでご飯3杯いける

クロースの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

クロース(2019年製作の映画)
4.0
Netflixの良い所は、新作クリスマス映画をちゃんとクリスマス前に公開してくれること。本作はサンタクロース誕生秘話を描いたスペインのアニメ映画なのだが、多国語吹き替え&字幕を用意して全世界同時公開してくれるので、劇場公開の洋画みたいに年明け2~3月にクリスマス映画を観なければならなかった時代がまるで嘘のようだ。

郵便局長の馬鹿息子が武者修行の為に北の孤島の配達業務を任され、そこで出会った無口なおもちゃ屋のおじさんと共に、良い子へのプレゼント事業を始めるという話。

それがやがてサンタクロースの誕生へと繋がっていくのだが、この孤島には争い好きの大人達が沢山住んでいて島も荒れ放題だったところを、プレゼントを貰う為に良い事をする子供達が増える事で、大人を含めた島の雰囲気がどんどん明るくなっていく描写がとても良い。サイドストーリーとして子供を支える女性教師の再生の物語も組み込まれ、教育の重要性を訴えるメッセージ性も内包している。大人も子供も楽しめる現代の寓話として、とても素敵な作品だ。

正直、最近はディズニーやピクサーの絵柄に食傷気味だったのだが、本作のテイストは明らかにそれらと異なり、ヨーロッパらしいフォークロアなファッションもアメリカ映画に無い味わいで、新しさと古さが同居する世界観がとても新鮮だった。