ふじ

王国(あるいはその家について)のふじのレビュー・感想・評価

-
窓窓窓、窓に次ぐ窓
擦りきれるほど張り詰めた集中力

「映画」という題材のアート作品のようだった。アート作品は悪い意味で言ってるのではなくて、構造を分解したような映画だった。監督(演出家)という視座、窓から見えるものをみている。

同じシーンを役者が繰り返し演じているのは、映画を作っていると何度も見る光景で、俳優が何テイクも重ねていくうちにゲシュタルト崩壊というか台詞の掛け合いが動作、作業になってしまうのを何度も見て悲しい気持ちになった事もあった。
それでも何回も繰り返すうちに、ふと新しい表現が現れる瞬間や、ただのテキストによって人間が一人、役に侵食される瞬間みたいなものを、現場で目にする事があるから、作り手はモニターがあれば目が離せないし、希望があれば何度同じ事を繰り返してもモニターを凝視してしまう。
…っていう事が、映画の内側だと思っていた事が、窓の外から見れば一つの創作物になるんだ、というのが目から鱗だった。
現実をドローイングするその過程にある編集が、独創性になることに改めて驚いた。

感じた事を全部言語化することは出来てないけど、それでも目という窓を通して、自分が認識できていない自分が、ちゃんと何かを見れているなと思った。

キャスター、無いんですね。人は声で誰か分かるもんですね。笑
ふじ

ふじ