りょう

ラン・ローラ・ランのりょうのレビュー・感想・評価

ラン・ローラ・ラン(1998年製作の映画)
4.4
 当時は斬新・奇抜な映像スタイルばかりが話題になっていた印象がありますが、一つのミッションに3回チャレンジして成功させるという構成は、いわゆるタイムループ系でもなく、冒頭に表示される“試合の後とは、(次の)試合の前のことだ/S.ヘルベルガー”というテロップととともに、この作品のメッセージにとても共感しています。自分の言動一つで他人の人生までも左右してしまうということも含めて…。
 物語はとても単純ですが、3パターンを描写する過程の情報量が膨大なので、これを81分の尺で編集したことは驚異的です。何回も観ていますが、そのたびごとに新しい発見があるのも面白いです。かなり集中力を高めなければ、この作品のクオリティを理解できません。ローラの奇声の破壊力は爆笑レベルで、最後のカジノの奇跡に納得してしまうのも、2回のシーンの描写が効果的だからです。
 もう20年以上経過している作品ですが、いまだに映像スタイルは通用すると思いますし、監督が担当している劇伴も秀逸です。多少古びても“いい”ものはいつまでも“いい”という見本として、この作品が再評価されることを祈ります。
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