「NOPE」を撮ったジョーダン・ピール監督の作品。
「NOPE」と同じく摩訶不思議な世界観で、好き嫌いがはっきり分かれそうな作品でした。
ルピタ・ニョンゴ演じるアディは、夫と子供二人で、夏の間を過ごすために、子供の頃に住んでいた家を訪れる。アディは子供の頃にそこにある遊園地で、” 自分自身” を見たトラウマを抱えていた。
ある夜、家の外の物音で外に出てみると、そこには自分達家族そっくりの4人の人間が立っていた。
「僕たちだ・・・」
ジャンルとしてはホラーなんですが、個人的には正直、怖いって言うより笑けてくるファンタジー・コメディのような印象。
ストーリーそのものはそこまで複雑ではないのですが、多分、それだけではこの映画の20%ぐらい。
この映画、NOPEと同じく沢山のメタファーが含まれているようなのですが、正直言うと、私はほとんど分かんなかったです。「分かる分かる」って言えればカッコいいなとは思うのですが・・😥
理由の一つは、アメリカの歴史観、宗教観に強く根ざしたテーマが多いこともあるのかな、と。
映画を観ながら、「なるほど」とジワジワ来るならいいんですが、初見ではほとんど分からなかったというのが正直な感想です😢
そんな難解な映画「Us アス」でしたが、レンタルDVDには監督のインタビュー、解説映像が一時間分も収録されており、これを観て初めて「なるほど!」と思えました。先に解説映像を観てから本編を観た方が楽しめたかな・・
以下はネタバレ
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□ 「もう一人の自分」とは
・” 私達 ” 以上の意味がある
・見ると不幸を呼ぶと言われる ”ドッペルゲンガー”
・人間が持つ二元性、自分の中にあるもう一人の自分
・モンスターは自分の中にある
□ 地下世界
・「特権の裏にある犠牲」の象徴
・恵まれた生活の裏は多くの犠牲の上に成り立っている
・恵まれた人とそうでない人はすぐそばにある
□ 地下世界に迷い込む少女/ウサギ達
・不思議の国のアリス、ウサギも登場
・イースター、復活祭のうさぎ
・うさぎ=実験動物、地下に住む人達もそう
□ ハンズ・アクロス・アメリカ
・映画で度々登場する、手を繋いだ人たちの映像
・1986年に実際にあったチャリティイベント
・ウィ・アー・ザ・ワールドなど、”連帯”が求められた1980年代アメリカを象徴
・子供のアディが着るマイケル・ジャクソンのスリラーのTシャツ、影の人たちが着ている赤のつなぎもMJモチーフ
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最後に感想。
アディとRedの二役を演じたルピタ・ニョンゴの演技がとにかく素晴らしい。DVDの映像特典には、役に入り込むルピタ・ニョンゴの映像が収録されているのですが、撮影と撮影の間もずっとRedであり、暗闇の中で不気味な表情、ぶつぶつ言っている映像があるのですが、正直、これが一番怖かったです。
あと、荒唐無稽で実現不可能な地下世界は現実にあるかのうように見せるのではなく、いっそ「襲ってくる人たちも謎」って方に振り切ったほうがよかったのでは、と思いました。