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アスのBGのレビュー・感想・評価

アス(2019年製作の映画)
3.8
ああ、このジョーダン・ピールって監督は、クソ上手いんだな。文学的というか何というか、センスがやばい。おそらく、どんな作品、どんなジャンルであろうとも高クオリティの作品を産み出すだろう。
DCは今すぐにでも大金積んでオファーすべきである!JOKERの出来も上々みたいだし、今ならまだ間に合う…かも知れない!?

正直、本作の話自体は割とその辺に転がってそうな話だ。だが。それを1つの脚本として成立させ、面白い話にしてしまうのは、ただ事ではない。

「ゲット・アウト」の時から薄っすらと感じてたんだけど、この監督は溜めを作らない。ストーリー上に変な間を取ったりしないのだ。スイスイ話が展開していく。だからといって、退屈な訳では決してない!ちゃんとメリハリ自体はあるんだよ。

その上で、緊迫感があったり、時にコメディ要素を入れつつ、軽やかに話が進んでいく。なんつーか、変な力みがない。良いシーンを撮ってやるって気負いを感じないのだ。勿論、あると思うけどさ。それでいて、決める画はキチンとあるもんだから、もう何も言えねえ。
どっかの力みまくって無駄シーンが1つもなくなった挙句に2時間40分近い作品を撮る監督とはえらい違いである。どっちが良いとかではなくてね!

何だろね。サスペンススリラーなのに、 爽やかですらあるよね、もはや。構想に何年もかけて、いろいろ考えて、頑張って、遮二無二にカメラを回して、懸命に映画を作ってる人がこれを観たらどう思うのだろうか。所詮、評価されるのは過程ではなく、結果。どんなに頑張ろうとも覆せない、生まれながらにして持っている"違い"が存在するんだと見せつけられる。

だが、しかしだ。そこで足掻くことに意味はないのだろうか。社会が、世界が評価しなくても、そこに在った美しさは、誰にも否定されるべきではない!そう思うのだ。
そして、それは本作の中においても、醜い憎しみの中に、しっかりと存在していたと。私は思わずにはいられないのだ。例え、陰と蔑まれようともね。

ん?いったい何の話をしてるんだって!?
俺ら《Us》の話に決まってんだろっ!!

そんなこんなで、メッセージやテーマ性もしっかりあって、かつ楽しい作品でした。ジョーダン・ピールのことを、これからは料理の鉄人と呼びたいと思います!美味しゅうございました。
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