順慶

アスの順慶のレビュー・感想・評価

アス(2019年製作の映画)
3.6
真夜中。
ふと別荘の窓から外を見ると、自分たちと同じような家族がこっちを見ている。じっと動かずにこっちを見ている。じわじわと鳥肌が立った。その瞬間、ある合図でその家族が俊敏に動き出す。この映画で一番の怖いシーンだった。

自分と同じ人がいる。同じ家族がいる。しかし彼らは一様に赤い服を着ている。そしてハサミを持って自分を襲ってくる。
わけがわからない感じが怖かったが、物語が進むにつれてわかってくる真相にホラー的怖さは薄れてきた。
戦う家族の物語は、大抵母親が強い。で、これSF設定だった。

いつの時代もゾンビは何かのメタファーであるかのように、瓜ふたつのもう1人の自分もメタファーなのだろう。
裕福な人がいるから貧困に苦しむ人がいる。光と影のような存在。

物語は1986年から始まる。その時代に行われたHands Across America のイベント。その姿がそのままに現代のドッペルゲンガーたちが手をつなぐ。
彼らの戦いは終わったのだろうか。それともこれからが始まりなのだろうか。
順慶

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