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ミュウツーの逆襲 EVOLUTIONのRのネタバレレビュー・内容・結末

ミュウツーの逆襲 EVOLUTION(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2019年の日本の作品。

監督は「ルドルフとイッパイアッテナ」の湯山邦彦と「スナックワールド 人嫌いのレニー」の榊原幹典。

あらすじ

幻のポケモン「ミュウ」の遺伝子から作られた最強のポケモン「ミュウツー」は自分を生み出した人間への憎悪を宿らせ、人間への逆襲を開始する。一方、ポケモンマスターを目指し、旅を続ける少年サトシは謎の送り主による招待状によって、優秀なトレーナーだけが招待されるポケモン城に誘われる。

Netflixにて。

「ポケモン」及びその初の劇場版となる「ミュウツーの逆襲」についてはあまりにも思い入れがありすぎて、ここで書き記すにはあまりにも思い入れがありすぎて、長文になりそうなので控えるが、未だにポケモン映画の中では多分大抵の人が挙げるであろうシリーズ屈指の名作であることは疑いようがない事実だろう。

そんな本作はオリジナルからなんと21年ぶりのリメイク作であり、シリーズ初のフルCG作品となっている。

普通のRPGゲームのアニメが21年もの間長く愛されていることにもまず驚くが、そんなポケモンの初の映画作品がなぜ2019年の当時リメイクされるのかといえば、まぁテレビ東京の開局55周年ということもあるが、シリーズ前作「君に決めた!」あたりから、露骨に路線変更した劇場版シリーズの「攻めの一手」の一つであり、同じ国民的アニメ「ドラえもん」のフルCG映画の成功も要因の一つではないだろうか。

その結果、ストーリーは当時のままにフルCGで再現された世界観が広がっている。まずなにより作品の主役である「ポケモン」たちが動く動く!出てくるのは冒頭の海賊トレーナーが使うドンファン以外(ドンファンは2作目の「金銀」から登場)一作目の「赤緑」からのポケモンのみで構成されており、そういう意味でも21年ぶりに久々にスポットが当てられるポケモンたちもいて、やっぱそいつらは出てくるだけで嬉しい。

また、その点で言うと肝であるポケモンバトルも冒頭のオープニングをバックに繰り広げられるポケモンバトルを皮切りにリザードン、フシギバナ、カメックスvsクローン御三家によるマッチアップだったり、その後に盛大に繰り広げられるオリジナルvsクローンによる総力戦も実に迫力があった。特にその総力戦は戦うポケモンが多い分、それぞれのポケモンたちの位置関係をカメラロールを縦横無尽に動かして的確に描きつつ、それぞれのポケモンなりの戦い方をテンポ良く見せていて、ここはフルCGならではの迫力とリアリティがあった様に感じる。

ただそのポケモンたちが繰り出す技については当時まだ出ていない「リーフストーム」や「こおりのつぶて」が描写としてあって、ここは今の要素を入れこんできている感じ。

また、その意味では作品のテーマ上大きく意味を持ち、それぞれの総大将となる「オリジナル」ミュウと「コピー」であるミュウツーとのぶつかり合い!ピンクに輝くミュウと紫色に輝くミュウツーの姿がそのまま「善と悪」みたいな構図となっており、ここは当時観た大人たちよりも今現在ポケモンにハマっている子どもたちの目から観てもカッコいいものになっているのではないだろうか。

また、そういう意味では、やはりミュウツーの声といえばこの人!市村正親(「そして、バトンは渡された」)を引っ張ってこれたのがデカい。やはりミュウツーはこの人以外考えられないわけなんだけど、当時と変わらないそのままの形で市村さんが声を当てていて、やはり数々の舞台でならした名優、さすがの一言。あと、やっぱ知ってても驚きなのがあの可愛いミュウの声を当てているのがあの山ちゃんこと山寺宏一(「その声のあなたへ」)という点、「七色の声を持つ」という異名は伊達じゃないという感じでマジでどっからその声を出してるんだよ笑。

あと、当時のゲストキャラの小林幸子(「スーパー戦隊 純烈ジャー」)やレイモンドも出てきてくれたのも地味に嬉しい。

ただ、じゃあこれをフルCGでやる意味はあるのかといえば、個人的にはあんまりって感じかなー。もちろん当時の熱狂を知らない今の子どもたちに向けてって意味合いなら迫力面で大きく上をいくフルCGとなって再現された今作の意義はデカいと思うんだけど、やはりオリジナルを劇場で観た身からすると、やはり当時与えられた衝撃とその感動と比べてしまう。

あのポケモンたちがじぶんのクローンと戦うというポケモンバトル史上なんの意味も成さない「哀しい戦い」の構図も迫力はあるものの、死力を決しつつもお互いの実力が拮抗して、やがて打ち倒れていくその衝撃度はやはりオリジナルの方が見応えがあった。

あと、サトシがミュウとミュウツーとの戦いを止めようとその攻撃に巻き込まれて「死んでしまう」シーンも完全に「魂が抜けた状態」となってしまったサトシに寄り添うピカチュウのシーンはそれなりにグッとくるものがあったけど、その後の周りに寄り添うポケモンたちが流す涙が宙に流れ出るシーンはなんかちょっとシュールすぎて感動がスッと収まってしまったなぁ笑。

あと、あれだけの戦いを繰り広げて、決着のつけ方と終わり方があっさり感じてしまったのは気のせいかな?

あと、フルCGとはいうものの、やはりジャパンクオリティ、もちろんある程度のリアリティはあるもののピクサーやドリームワークスなどと比べるとやはりその質は劣るわけで。まぁかといって「名探偵ピカチュウ」ほどのリアリティでこれを再現されても…というところではあるんだけど笑。

だから、やっぱ結論としてはオリジナルの一作目こそ至高、その一言に尽きる。どうせだったら、一作目からの監督の湯山邦彦ではなく、違う若い感性の人が監督して、オリジナルにはない「結末」を描いた方がリメイクという意味では意義があったのではないかな?ポケモン映画として重すぎる「テーマ性」を扱うという意味でもその方がオリジナルとの比較の面でも良かったような…。

まぁ、でも11月にも新作ゲームが発売され、相変わらずの育成ゲーの「覇権」を握るポケモン。だからこそ、劇場版ポケモン製作陣の「次なる一手」を期待したくなる作品でもありました。
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