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一人の男、私の息子のNMのレビュー・感想・評価

一人の男、私の息子(2017年製作の映画)
3.0
幼い頃から短気で頑固だった父。老いた今、昔ほどの迫力はない。母は早い時点からいなかったようだ。
彼の息子で主人公の男はゲイで、アルジェリアに憧れるドラァグクイーンとなった。父はそれに何とも言えぬ表情をしているが、小言を言うぐらいしかできない。
妹は父に今も完全に心を閉ざしている。
三人が集まる日、今にもトラブルが起きそうだが……?

短い旅のなかで、父子の関係が少しずつ変化していく。離れたり近づいたり。
自分をさらけ出してしまっている兄のほうは自由に生きているが、父の呪縛から抜け出せない妹はどうも辛そう。父を憎む気持ちも分かるが、そのために自分の人生を台無しにしてはもったいない。
かすかにそれが解消できそうなニュアンスを残してのエンディング。
何かの大事件をきっかけに涙を流して抱き合って謝罪し合う、なんてことは現実ではなかなか無く、あるとしたらこんな風に何となくたまたまある時期に、自然に緩やかに許容されていくものだと思う。


メモ
マンサニーリャ……スペインの特定地域で作られる白ワイン。
セギディーリャ……アンダルシアの三拍子の舞曲。『カルメン』でホセを誘惑する時の曲名でもある。本作品内で父子が歌っている。
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