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宮本から君へのbutasuのレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
1.5
ドラマは未見。というか続き物だということを観終わって初めて知った。どうりで謎のキャラクターが出てくるわけだ。もっとも、細かいところを気にしなければ映画だけでも全然観られるようにはなっている。

映画を観た人全員が評価するのは、池松壮亮の頑張りだと思う。本当に良く頑張った。彼の熱量だけでこの映画は出来上がっているといっても過言ではない。ただ、映画として良いかというのは別問題。好みの問題もあるのだろうが、自分に合わなかった。というか、はっきり言って嫌いな映画。

まずこれは内容とは関係ないのだが、とにかくイライラしたのが、終始ボソボソ喋りと絶叫が交互に来ること。邦画あるあるではあるが、この映画は特に酷い。普通の会話は耳を澄まさないとまともに聞こえないのに、会話中に前触れなしでいきなり大声で叫ぶから、うるさくてたまらない。そしてどちらのパターンも何を言っているのか非常に聞き取りづらい。延々とこの繰り返しなので、観ていて相当ストレスが溜まった。

そして内容も、どうにも感情移入しづらく胸糞が悪い。生々しいレイプシーンは当然だが、全編に渡ってなぜだか妙に嫌悪感が募る。どうしてだかわからないが、観ていて物凄く嫌な気持ちになった。悪い意味で。まともなモラルというものが存在しない感じ。

ドラマは未見だが、映画だけを観ている限りでは、主人公がそこまで馬鹿なやつにもヤバいやつにも思えない。むしろとても哀れでかわいそうに感じてしまった。確かに血気盛んで怒ると周りが見えなくなるところはあるが、真っ直ぐで一生懸命で、あの女と出会ってなければ真っ当に幸せになれたような気がする。あんなことになって、この後も誰の子供かわからない子を育てていくのかと思うと、本当に不憫で仕方ない。というかこの世界には警察はいないのか?

漫画原作だからなのか知らないが、台詞回しも妙に古臭く演劇調で不自然。あの芸達者な役者陣をもってしても違和感満載ということは、完全に演出の方向性の問題。あまりに話し方が古臭いから昭和の話なのかと思ったら、登場人物が普通にスマホを使っていたから驚いた。原作だって最近のものではないし、時代設定を昔にすれば良かったのでは。

あと蒼井優は役者としては最高に好きなのだが、今回のような映画で頑なに胸を隠すのは本当にどうかと思う。

なんだか観終わってぐったりとしてしまった。消耗しきった。昭和の悪いところを煮詰めたような映画。疲労感しか残らなかった。
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