ずどこんちょ

エクストリーム・ジョブのずどこんちょのレビュー・感想・評価

エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)
3.8
冒頭から楽しいです。
麻薬捜査班の一同は、SATのように窓から突入しようと試みるも、滑車の勢いが悪くてグダグダと侵入。おまけに窓ガラスの弁償が怖くてゆっくり部屋に入ったにも関わらず、犯人の逃走によって、何台もの車を巻き込む多重衝突事故が発生。
あぁ、なんと親しみの感じる素敵な刑事たちでしょう。

実績を積めず、後輩にも昇進を抜かされ、解体寸前の麻薬捜査班の5人。
最後のプライドをかけて班長のコ・サンギは国際的な麻薬密輸組織による取引が近付いているという情報を掴み、犯罪組織のアジトの向かいに張り込みを開始します。
ところが、ひょんなことからその店を買い取ることになり、フライドチキン屋として潜伏しながら監視していると、やがてチキン屋がまさかの繁盛。5人はすっかりフライドチキン屋として慌ただしい日々を過ごしていました。
本業の張り込みに支障が出てきたため、泣く泣く値上げを断行するもSNSで「映える」と評判になって、客足は途絶えません。
繁盛させたくないのに、儲かっちゃう。嬉しい悲鳴ですが、時折、彼らも自分たちが何を目的に頑張っているのか分からなくなってしまい、思い悩む表情がまた面白いです。刑事なのに犯人逮捕で手柄は立てられず、まさかチキン屋で才能を開花してしまうなんて…。

コメディ要素も強いですが、アクションもなかなか。
大勢の犯罪組織に5人が立ち向かうシーンの立ち回りはとても見応えがありました。
なぜなら、彼らはただのダメダメな落ちこぼれ刑事ではなかったからです。
彼らの隠された素性が明かされるあのシーンは興奮しましたね。しかもそれを明かすのが、あれだけコ班長を見下していた後輩君なのだから驚き。5人の窮地での強さを知っており、実は見くびってなどいなかったのです。
能ある鷹は爪を隠すとは、まさにこの事。もしかすると、彼らは本当に自分たちがすごいということに気付いていないのかもしれません。
捜査力がないと言っても、チキン屋の副業がバレて停職中に、遠回りしながら結局犯罪組織の大取引の現場に遭遇していくのですから。チキン屋が繁盛したことにしろ、捜査力がなくても引きが強い。ここぞという場面での運が強い。
刑事には大事な力ではないでしょうか。

「町バスで犯人を捕まえたんですか。スクールバスよりはマシでしたね。」とバカにしていた後輩チームが、犯罪組織チームと対決して負けた末にスクールバスが逃走車に衝突して犯人逮捕に至ったり、
妻から何度も窮地を乗り越えてきたと言われるコ班長が最後に噂通りのゾンビ刑事になったりと分かりやすい伏線があったのも楽しめました。

見終わった後に印象に残っているのは最高に美味しそうなフライドチキン。私もバクバク食らいつきたいです。
映画と同じく、何が本質だったのかを忘れてしまいそうな愉快な作品でした。