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エクストリーム・ジョブのtanakaのネタバレレビュー・内容・結末

エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

やっと観れた!ちょうどパラサイトの公開時期や忙しかった時期が重なったため劇場鑑賞を断念した本作。劇場で観なかったのが悔やまれる程、素晴らしい作品でした😆😆😆

前半はとにかく麻薬捜査班の面々の駄目っぷりに苦笑い。
ライバルである強行班(しかも班長は主人公の後輩)からは見下されながらも、焼肉をご馳走になる始末。コミカルで笑いを誘われますが、これまで頑張って来たであろう努力が報われず苦悩する姿は、胸にくるものがあります。果たして、彼らに一世一代の潜入捜査を成功させる事は出来るのか…。

悲劇と喜劇は紙一重なんて言葉がある通り、キャラクター達の状況は観客からは喜劇に見えますが、当事者達にとっては悲劇なんですよね。頑張ってるけど失態続き。後輩に出世で先を越され、その上安月給。挙げ句に自腹切って潜入捜査…。辛い状況ですよね?そして、彼らのこうした状況って現実社会にも当て嵌まりません?頑張っても評価されなかったり、予算減らされてサビ残でカバーする羽目になったりとかね。

だからこそ、そんな苦境からの終盤に掛けた怒涛の展開は我々にとっても痛快。コミカルだけど、キマってるテーマ曲もマッチしてて、終盤のアクションは文句なくカッコいい。笑いながらも、何だか感動すらしていました。









※以下、詳細ネタバレ。


































前半からおっちょこちょいに描かれる麻薬捜査班の面々ですが、見ていると、どうやら主人公のコ班長は20年間も第一線で体を張ってきた叩き上げで、決して駄目刑事では無いことが分かります。更に見ていくと、終盤にて、実は彼ら1人1人が、韓国柔道代表、海軍特殊部隊出身、元ムエタイチャンピオン、究極のドM(笑)、不死身の男等、とてつもない武闘派である事が明かされます。説明台詞をバックに、たった5人で数十人もの相手を制圧する姿は痛快で頼もしく、感動すら覚えます。

思うに、彼らは署長の方針に適応できなかったため、本来の力を発揮できていなかったと推測されます。その根拠として、作品冒頭のシーンで、犯人から投げかけられる台詞があります。

「韓国の警察は金をケチって人をこき使う。人の方が大事なのに。」

韓国警察の実状は知りませんが、予算が充分とは言えない中、現場で命を張ってきた彼らの境遇を匂わせる台詞だと捉えました。実際、お金に困る描写は劇中で何度も描かれます。
また、麻薬班の解体を決めた署長は、コ班長の人となりをどうやら知らない様子。それに対し、コ班長は現場で黙々と仕事に勤しむタイプで、アピールが苦手なよう。その上、自信を喪失してる事もあって、思うような成果を上げられなかったのではないでしょうか。
実力はあるのに、冷遇されつつ、しかし決して汚職には手を染めなかった彼らが活躍する姿は、様々な制約下で身を粉にして働く世の人々に向けたエールに映り、胸を打たれます。最後の焼肉を食べるシーンでコ班長が静かに微笑むシーンは、失われた自信が取戻された事を暗示しているようで、そこもジーンとしました。

因みに、主人公の後輩である強行班の班長は終始憎まれ口を叩いてますが、心の中では先輩を始めとする麻薬捜査班を高く買っているようにも見えて、そこもグっと来ましたね。

アハハと笑って、また明日からも頑張ろうと思わせてくれるような、そんな映画でした。
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