悪事を働く人の匂いを嗅ぎ分けられる特殊技能を持った空港の税関で働く女性警備員。醜い容姿から自分に期待をしない彼女はある男に出会う。
お話の作りはかなり正統派で、しかし描き方というかモチーフの扱い方が異様でそれが面白い。
ネタバレになりそうなので、説明が難しいが、え！？なにそれ？という方向に話が進みその浮遊感に流されていくのかまた心地よかった。
差別とアイデンティティについてのダークファンタジー映画として秀逸だった。
🦑ネタバレあり
ストーリーラインだけをみると、自尊感情が低い人間がようやく心が通じる異性に出会えて世界が輝いて見えてくる。が、しかし彼女は自分の既存の価値観か彼のいる価値観を選択する必要性に迫られる…というラブストーリーや青春映画にみられるシンプルで強い骨格をしてる。
前半の彼女の孤独感が強い分、（彼氏がいるがヒモで浮気してて自分もめっちゃ好きじゃないが、優しいし差別しないからいて欲しい。誰かに居てほしい、を満たすためだけに人を求めるという様がより孤独に見える）エモーションの高まりが開放に向かう後半の展開は熱い。林を全裸で同類の彼と駆ける彼女に心がやたら穏やかになる。
あとセックスシーンの珍妙さもピカイチ
セルビアンフィルムの様な胸糞がこの世の闇として描かれてる。映像で見せてこそないがそれ故にマジで気色悪い。
