十一

ボーダー 二つの世界の十一のネタバレレビュー・内容・結末

ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

「二つの世界」よりも「心を嗅ぎ分ける」に惹かれて観たので、ビデオカメラとか“汗の匂い”か…と思いました。
心の匂い要素に触れた場面、この能力を使う描写が少なく、作品に期待していたものが得られなかった。
能力を活かすどころか人の心が分かっていないような台詞と振る舞いばかりなのも気になり、深く考えられていない。
ティーナやヴォーレに限らずトロールの現状は心を嗅ぎ分ける能力を使いこなせていない結果で、多数派の人類/他人に何か求める前にできること(環境に適応する/人類と平和に共存するために能力を使いこなす)がある。この能力を使いこなして仲間に共有しようとする個体が1体も出ていない、知識と技術の伝承がなく未だに窮屈な思いで生きなければならないことになっているのも不自然で、なんというか種族保存本能がないならば淘汰されるのが自然だと思う。
ティーナに関してはローランドはじめ周りの人にもっと気を遣えるはずだし、上手く立ち回ればいじめも回避できたのでは?と思う。いじめは台詞での説明のみだったけれど、ティーナの様子を見ていると人と違う醜い自分のせいにしてそれ以上考えず、変えようとしなかったのだろうと思ってしまう。心の匂いと適当な対応を学んでいけばたくさんの人に好かれることもコントロールすることも可能なはずで、いじめられて「残酷になりたくない」とは思えるのに、この辺りがわかっていないし、改善のために行動しないのが不可解。ティーナはどっちつかずが心地いい性分と捉えられる。マイノリティの苦悩もテーマとしているのは伝わるけれど、望んで選んだようなティーナのそれはマイノリティの人たちが抱える解消すべき孤独感とは訳が違う気がする。
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