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ボーダー 二つの世界のrosechocolatのレビュー・感想・評価

ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)
4.6
⭐︎2019年映画マイベスト1位に選ばせていただきました⭐︎

ボーダーと言いながらも実はボーダーレスを描く。

男と女、人と獣、大人と子ども、自然と人工。
全てのものは境界線があり、どちらかに属しているが、本作はそこを敢えて破ってみたらどうなるか? という問いかけであった。

境界線の内側にいることが当たり前として暮らしている人には、絶対に浮かばない発想である。

そして破ってみた境界線は、案外脆いものであり、境界線の外側も実は心地よいものになっているのかもしれない。

境界線を破り、どちらにも未練を残し、所属する理由も残しながら生きるティーナ。しかし、生きることに理由などないと悟った時点で彼女の方向性は決まった。たぶんこれからも、彼女はどちらにも都合よく生きていくのかもしれない。しかし私たちは、本能には抗えないという事実をそこに見る。シンプルだが深淵にまで到達させられる考察を与えてくれた作品に、敬意を表したい。
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