Ao

よこがおのAoのレビュー・感想・評価

よこがお(2019年製作の映画)
4.5
・映画館で観てよかった作品。
音楽がほとんど流れません。が、会話や生活音、スピーカーから流れるクラシックなどなど、まるで自分が生活している時と同じように聞こえてくる音。が印象的です。
演技力のある役者さん揃いなので音楽がなくともテンポよく見れます。

・タイトルである、よこがお。
こちらに意識を向けていない、ある意味裸な部分。でも反対側は見えないし、全部知ることは出来ない。光と影。影の部分は知らない方がいい事が多いのかな。でも多面性があるからこそ魅力的で面白いですね。
今作、カメラが主人公の視点ではないことが多いので、彼女の変化を楽しめます。

・筒井真理子さん。
初見でしたが、市子という
だれからも信頼されるような優しい人物像を、ここまで役のまま広げられる、表現できるという凄さ。。これぞ女優だなぁと思いました。

以下ネタバレ





市子が犬のように歩き、吠える姿はなんとも狂気的(割と前半だったのでちょっとびっくり)でしたが、
池松さん演じる美容師に会う「リサさん」である彼女は
しなやかで美しい歩き方。
市子にもゾッとしますがもはや筒井さんにゾッとしました。
彼女の演技力のせいなのか、なんなのか、
彼女の呼吸が荒くなると、
見ている自分まで苦しくて苦しくてたまらなくなりました。

・池松さん、市川実日子さんもまた素晴らしいです。
池松さんはなんだか大人な雰囲気が増して、会話ひとつひとつが印象深く残りました。
市川実日子さんはとてもいい表情をされます。

・何故か動物園ではよく昔話をしますね。
動物園からの帰り道、
信号機の音がスローモーションで鳴り響き、基子だけが信号を渡りきる、印象的なシーンがありますが、
クライマックスも信号でしたね。
またあの音が鳴り響きます。

そして基子を轢くことのできない叫びのようなクラクション、、
こんなに怖い音はありません。
Ao

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