「女たちの静かなる闘い」を描いた濃密な人間ドラマ。
各所で高評価なのも納得だ。
フィクションではあるけれど虚構ではない。それは確かに1960年代アメリカ南部にあり得た話。
不条理を描く物語は、ともすれば暗く陰鬱なものになりかねない。けれども、明るい衣装とテンポの良いシナリオ、そしてどこかクスッと笑える一コマを差し込むことで希望に満ちた仕上がりになっている。
示唆的なのは、悪役となるヒリー(ブライス・ダラス・ハワード)も含め「私たちは差別していない」という意識があるところ。ヘタに無自覚でいるよりもタチ悪いかも。
せっかくのレンタルブルーレイだったので、メイキングも観てみた。
それによると、原作者キャスリンは9.11を受けて自己を見つめ直したことが、本作を執筆したきっかけになったという。
また、ミニーはオクタヴィア・スペンサーをイメージしてつくられたキャラクターであり、映像化されたことで夢が叶ったとのことだった。