ろく

劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明のろくのレビュー・感想・評価

4.2
中身はシーズン1からの継続。ここから見ると何がなんやらだから注意。

まあおなじみグロ鬱は他の方のレビューに任せるとして(とにかく最後なんか心ぞわぞわしちゃう)

今回は適度にエロかったり下品だったりな内容について。これ谷崎潤一郎の小説とシステム同じなんだよ(と勝手に思う)。谷崎は「美」に「醜」を入れることで「美」を際立たせるというシステムを作った。これは「細雪」なんか読むと明確ですぐ下痢とかを次女にさせるわけ。きっとその手の描写があるから作品の美しさが際立つの(というかヘンタイが群がるの)。それを敷衍するならこの作品はとんでもなく「可愛い」に「醜さ」や「エロさ」を入れ込んでくる。だから見ているのはぞわぞわするのよ。しかも谷崎と同じでそこが「いきすぎない」。そのバランスが見事なんだよ。これは原作の見事さかもしれないけど、その匙加減に拍手を送る。

まあそこからあの鬱描写になるわけよ。でもそこも絶妙なんだよな。これが駕籠真太郎なんかの漫画だと「やりすぎ」で辟易するんだけど、この作品ではぎりぎりで回避しているので(まさに)絶妙な匙加減になる。鬱にいく前の展開がほんとよくできているんだ。観ている方もわかるんだよ。みんな幸せじゃないか。でもこの後酷いことが待っているんじゃないの。そう、その時間こそこのアニメが「鬱」として際立っている理由なんだ。

SMは打たれたときの快楽ではない。待っているときの快楽だ。

まだこの映画を見てない人は心してみるべし。僕はぞわぞわが止まらなかったんだ。
ろく

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