ボンドルドが「君たちの旅に呪いと祝福を」と言う。
本来意味のまったく違う言葉。
しかし旅には、生きていくことには呪いと祝福があり、ある人はそれを呪いと呼び、またある人はそれを祝福と呼ぶ。
ここには見る人による価値観や捉え方の違いがあり、またそれはハッキリ分けることができないものでもある。
この作品もまた分けにくさ、捉えにくさが絶妙に織り込まれており、正義や悪、白と黒のようにハッキリ分けることはできない。
共通しているのは登場人物それぞれに欲求があること。
それが摩擦していること。
それ以外には善悪も正誤もない。
だからこそ作品自体を語ることがむずかしく、この作品を語るということは、じぶんのスタンスを明らかにするということでもある。
そのことが作品の語りにくさに繋がっている。