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すばらしき世界のwatosonmanのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.3
社会は分断されている。
普段そう聞くと頭では理解できるが、体感としてはピンと来ない部分がある。
そのピンと来ない部分とは接する機会の無さ、知らなさである。

そしてその知らなさとは、知らないだけではなく、知りたくないこと、可能なら忌避したいものでもあるところに、分断と言われるものの残酷さが垣間見える。

「ほんとうにサポートが必要な人は助けたい人の格好をしていない」とはよく言われるが、気付くと一人ぼっちになってしまうものなのだろう。


この社会で生きづらさの根源にあるものは何かと言えば、映画ジョーカーでも描かれていたが繋がれなさ、繋がりの無さだろう。

そしてかろうじて持っていた繋がりが一つまた一つと失われていく時、絶望しかけた時に、それでも誰かと一緒に居られる力、差し伸べられた手を信じることは、どんな人にもきっとむずかしく、同じ立場になれば、主人公三上と同じように振る舞ってしまうだろうというリアリティがこの映画にはあった。
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