櫻イミト

ふたりの女の櫻イミトのレビュー・感想・評価

ふたりの女(1960年製作の映画)
3.0
ヴィットリオ・デ・シーカ監督が一連のネアリズモ作品の後、6年ぶりに撮った作品。本作でソフィア・ローレンはアカデミー賞やカンヌなど主演女優賞を総なめした。原作は戦時中にモロッコ兵が起こした大量レイプ事件を元にした小説。

第二次世界大戦中、ローマで小売店を開く未亡人のチェジラは敵軍の爆撃に遭い、12歳の娘ロゼッタと故郷の田舎に疎開する。母娘は故郷で同じく疎開していた青年ミケーレド(ジャン=ポール・ベルモント)と仲良くなる。しかし終戦直前、ミケーレは敗北したドイツ兵に銃で脅され道案内として拉致、母娘はローマに向かうが、途上には残酷な運命が待ち受けていた。。。

ただただ悲惨な戦時中の物語。悲惨を描くことが目的化しているようにさえ思える。映像は良かった。

当初は当時52歳のアンナ・マニャーニ(「無防備都市」(1945)「黄金の馬車」(1953)など)が母親役、当時25歳のソフィア・ローレンが娘役のキャスティングだったが、マニャーニが病気になったため変更になったとのこと。伴って娘の設定が12歳になったわけだが、映画の印象だけではなく主旨まで変わってしまったと思う。タイトルの違和感はそこに原因がある。

※ジャン=ポール・ベルモントは同年の「勝手にしやがれ」で大ブレイクする
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