27位[人間をスワップしても何も起こらず…] 69点
開始五秒で叫びだすシューリクに思わずブチ上がるシリーズ三作目。だが、頻繁に第四の壁を破壊するのでちょっとウザい上に、同じ状況を何度も繰り返すので結構クドい。ソ連の喜劇王ガイダイの他の作品と同じく同年最大のヒット作となったらしく、シューリクの人気が伺える。そして彼の妻を、なんと「作戦コード"ウィ"」の第二話に登場したナターリア・セレズニョワが演じるのだ!三作品がが同じ時間軸上にあるのかと思うと非常に嬉しい。
イワン・ヴァシーリエヴィチとはヴァシーリーの息子イワンという意味。その点、イワン雷帝もワシーリー三世の息子なのでイワン・ヴァシーリエヴィチなのだ。シューリクが開発したタイムマシンで大家のおっさん(イワン・ヴァシーリエヴィチ)とイワン雷帝が入れ替わっちゃうというお話。イワン雷帝が意外と優しいやつで、シューリクの部屋から離れずに待っててくれる上、恋愛相談にまで乗ってくれるのだ。彼がレーピン『イワン雷帝とその息子』(殴り殺した息子を抱きかかえる絵)をチラ見するのは笑えた。でも、物分りが良すぎて別にイワン雷帝である必要性は感じなかった。
一方その頃、大家の男とそれについてきたコソ泥の男がイワン雷帝とその側近に扮して歴史を動かす。このパートは楽しくないわけじゃないんだが、ずっと同じことやってるのでクドい。
一つ分かっておかなきゃいけないのは、リャザーノフ「運命の皮肉」でも描かれた"当時のソ連には鍵の種類が少なかった"ということだろうか。泥棒はその全部の種類の鍵を持っているため基本どの家にも入れる。そこに開かない金庫→鍵じゃなかったという笑いや、イワン雷帝の時代の鍵も開けられる→その頃から状況が変わっていないという皮肉も込められている。
シューリクはトランジスタを買いに走り回るだけで存在感が空気なくせにラストは彼の夢オチというトンチンカンなもの。正直微妙だった。
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https://note.mu/knightofodessa/n/n1f0df7196405