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燃えよ剣のodamakinyanのレビュー・感想・評価

燃えよ剣(2021年製作の映画)
4.8
原作は若い頃に文庫で読みました。幕末史を詳しく知っているわけではないのですが、史実に基づいたリアルな映画です。土方歳三が函館戦争の頃、ロシア領事館でのインタヴューに応じて回想するという形式を取っています。最初は多摩の田舎からはじまり、京での新選組、鳥羽伏見、流山、そして函館戦争と、その生涯をくまなく描いたと思います。まさに原作の映像化としては、現時点では最高ではないでしょうか。しかし原作をいい意味でアレンジしていて、今の視聴者にも納得のいくあらすじにしてありました。特にお雪との恋愛が原作とは違っていました。このあたり、脚本が巧みでうまく描かれていたと思います。

また殺陣はどれも迫力満点で、リアルな剣での戦いが再現されており、時代劇が好きな人には満足できるものだと思いました。またシナリオで武士であることと主君に仕えることとの齟齬が底流のテーマになっており、目まぐるしく主君や攘夷などの在り方が変化した、この幕末という時代を鋭く捕らえていたと思います。このような変革の時代に、農民の身分から最後新選組という武士団を率いて戦った土方歳三という男の生涯を、最後まできちんと描いた作品です。
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