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燃えよ剣のShinMakitaのレビュー・感想・評価

燃えよ剣(2021年製作の映画)
2.0
1860年代…多摩の農家生まれの暴れん坊・土方歳三は、江戸の試衛館で剣の腕を磨きながらもやること無しで燻っていた。そんな時、京都で将軍護衛の浪士を募っていると聞き、盟友・近藤、沖田らとともに京に上ることに。浪士隊に組み込まれた彼らは、徳川将軍の命を受け京都の治安維持を担っていた会津藩から指示を受け、市内の尊王攘夷派志士たちを取り締まることになった。これが新撰組の始まりである…


「燃えよ剣」

以下、ネタバレを追うな、夢を追え。


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歴史物に興味もなく、チャンドラーやらヘミングウェイやらにカブレていた高校時代、唯一ハマった日本の小説…それが「燃えよ剣」でした。新撰組や隊士を材にとった作品は山ほどあるんだけど、土方歳三モノとしてはこれが間違いなく最高峰でしょう。

さて本作。かなり欲張った映画ですよねー。人間・土方の物語と新撰組栄枯盛衰ドラマを両方やってのけようとしてるんですから。そりゃ駆け足になるしダイジェスト化もやむなしなところ。でも、見せるとこはシツコく、見せないとこはアッサリと、ちゃんとエンタメのテンポがわかったスジ運びをしています。それだけじゃなくて、何気にアクションバイオレンス部分がフレッシュなんですよ。時代劇特有の様式美は無視した、完全実戦主義的な殺陣。深作欣二の粗さと生々しさとは違う、計算されたバイオレンスというか。特に芹沢暗殺の場面、暗闇の中鞘に掴まり一列で進み侵入するとこなんか、肩に掴まり屋内に進んでいくミリタリアクション要素ですよ。布団の上から何度も刀を突き刺していく凄惨さも、普通の時代劇でお目にかからない描写です。さすが原田監督、海外かぶれが良い効果を生みましたね。
英語表記のオープニングタイトルも、いつもの原田映画という感じでむしろワクワク感。西洋の軍隊を参考にした新撰組組織系統や、五稜郭戦の和洋チグハグな武器・装備・兵法で、これ一体どこの国の戦争なんだ⁈とクラクラするビジュアル、これらなんかまさに原田眞人映画の具現化ですよ。いい題材と岡田くんのフィジカルに恵まれ、原田眞人がまたも株を上げた
一本。観て損なし。
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