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フォードvsフェラーリのOBのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
4.3
『フォードvsフェラーリ』

これは、当然クルマのレース対決の映画であるが、本質テーマとしては『組織vs個人』と言うべき内容の物語だった。

官僚的でピラミッド型組織であるフォードと、個人の才能に基づくクルマ作りやドライビング重視のフェラーリ。

この正反対の組織が、ル・マン24時間カーレースという、フェラーリ式の価値観が正しいとされる舞台でぶつかり合う。

有能な『個人』である、レースチーム監督とドライバーの二人が、フォードの官僚組織内で悪戦苦闘しながら、超個人集団のフェラーリと競い、ル・マンでの勝利を目指すお話。

組織と個人に挟まれ苦悩する監督をマット・デイモンが、天才ドライバーだが曲者で扱いづらい一匹狼をクリスチャン・ベイルが好演。

何かを成し遂げるためには、組織が能力ある個人(チーム)を尊重し、任せることの重要性を問うているメッセージに共感した。

最後、エンツォ・フェラーリとフォードドライバーのケン・マイルスが互いを認め合っている(と思われる)シーンはこの映画の真骨頂だと思う。


劇中、各所に配されている大小の伏線がわかり易く回収され、観ている我々も容易に物語を理解出来、作品に入り込めた。映画作りとしてもプロフェッショナルなお仕事ぶりで好感。

カメラがローアングルから徹底的に狙うレースシーンは迫力満点で最高の一言。

しかし、60年代のクルマは、なぜこうもカッコ良いのか。(中でもやはりフェラーリは芸術の域)


新年一発目の映画館鑑賞としては大成功。
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