監督のドゥニヴィルヌーヴは一番尊敬している監督の1人ですし、主演のティモシーシャラメも好きな俳優なので、今年一番楽しみにしていた映画でしたが、期待していたほどではありませんでした。もちろん面白かったのは間違えないですが、期待していたほどではなかったと言う感じです。
もちろん良かった所もいっぱいあります。ティモシーシャラメ演じるキャラクターは演技が素晴らしかったです。普段は迷いや悩みが色々あって、その中でたまに見せる明るい表情が彼が楽しそうにしているのが伝わって素晴らしかったです。砂地が舞台の映画らしくけっこう乾いた映画ですが、バックストーリーの紹介などなくても、この映画の登場人物の間には絆を感じることが出来ました。
また、上の内容と少し被りますがトーンが独特で好きでした。大規模な映画はトーンが明るくなりがちですが、この映画は撮影なども暗めだし、セリフも抽象的で説明がほとんどないせいで暗い映画でした。そのおかげでSFのようなぶっとんだ作品でやることが多いわりに、1つ1つの出来事に結構時間を割いていても自然でした。
今までドゥニヴィルヌーヴは娯楽性が高い映画をあまり作っていなかったので、彼の特徴であるゆったりとした緊張感を今までにない形で活かせていたと感じます。
ただ、次々色んなことが起きていた上に、トーンも真実味が強かったから仕方ない部分もあるのですが、ちょっと着いていくのが大変でした。初見の時には、映画自体についていくのがちょっと大変だったと思います。けっこう冒頭から色んなものが出てきてちょっとごちゃごちゃしてるなと感じました。
他の映画にはない独特なトーンとエネルギーがあって見ごたえはかなりありました。映像もかなり規模が大きくて緊張感がありました。ドゥニヴィルヌーヴとティモシーシャラメの2人がやればもっといい物を作れるのかなぁと思いましたが、この映画も充分面白かったです。かなりおすすめではあります。