シネラー

ドラゴンクエスト ユア・ストーリーのシネラーのレビュー・感想・評価

2.0
ドラゴンクエストVを原作とした
映画だが、大枠のあらすじ
を知っている位で原作は未プレイ。
テレビ放映されたのを機に鑑賞。

CGアニメとしての
完成度は素晴らしく。
アクションシーンも迫力があって
良かったと思う。
鳥山明のキャラデサではないが、
別にそれに対して違和感があるという
訳ではないので、
これはこれとしてデザインも
嫌いではない。
音楽もゲームと同じく、
すぎやまこういちなのは嬉しかった。

やはり致命的なのは物語の部分だ。
全体的に物語が端的なダイジェスト
で描かれていく為、主人公リュカに
感情移入もできなければ、
物語自体も表層的である。
本来、一本の映画であるなら、
仲間との出会いや再会を感動的に
描かなくてはならない筈だが、
本作にはそれがないと言える。
ドラクエファンは残念に思うし、
ファンでない人からすれば疑問が
尽きない流れだったと思う。

只、中盤以降は不満だった
ダイジェスト感も薄くなり、
王道な冒険に宿敵との対決が
描かれている。
そこまでは個人的に良かったと思う。
しかし、それを台無しにさせたのが、
問題のラストだ。
何故、童心に帰った視聴者を
唐突に現実へ引き戻したのだろうか。
メッセージ性として、
言いたい事は分からない訳ではないが、
今やゲーム自体が
スポーツとなっている時代で
今更この内容をやるべきだったのか
疑問に感じられた。
素直にそのままラスボス戦に移行して、
勇者が冒険を終えた
エンドロール後にこういった内容が
組み込まれるのは良いと思うが、
そのまま劇中に組み込まれるのは
興ざめでしかないだろう。

ドラクエの映画化自体が難題である為、
一本の映画としての欠点は仕方ない
部分もあるだろう。
それでも普通に王道な
冒険を最後まで描いていれば、
傑作とまではいかなくても良作位に
はなれただろうと思えた。
結論としては、
オリジナル部分や物語の端折り方に
拙さが感じられる作品だった。
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