ノラネコの呑んで観るシネマ

ワン・セカンド 永遠の24フレームのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

3.9
文革の時代、娘の映ったニュース映画を追いかける脱獄囚の男と、なぜかフィルムを盗もうとする少女の物語。
男は造反派(毛主義者)と喧嘩したことで収容所送りとなり、娘に会うことは叶わない。
たった1秒、娘の顔を見るため上映会を追って旅している。
一瞬を永遠に閉じ込める映画の持つ精神性を、娘を想う父の心に反映させるのはいい。
しかし彼にとって、疑似的な娘となる少女との関係はちょい中途半端な気がする。
当時を知る張詒謀だけあって、文革下の中国の田舎の雰囲気は非常に緻密に再現されていて、まるでタイムスリップしたかの様。
ここ10年ばかり文革モチーフの作品を度々撮っているのも、それだけ個人として思うところがあるんだろう。
たぶん外国人が観るよりも、張詒謀と同世代の中国人の観客に、訴えるものが多い作品なのだと思う。
ところで、映画のフィルムであるものを作るというのは初めて聞いた。
中国では流行ってたみたいだけど、そら燃えるだろう。