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赤い闇 スターリンの冷たい大地でのAbeCinemaTVのレビュー・感想・評価

4.3
恐ろしいのは、チャップリンの独裁者の時もそうなのだが、今みれば、明らかにやばい、恐ろしいことが起こっていても、当時はいわゆる連合国側の視点というか欧米社会からの視点というか民主主義社会からの視点から見ても、ある程度正しいと思っていたり、信奉したりしていた人が西側にもいっぱいいたということ。本作における主人公はまさにそういう体験をする。情報統制の恐ろしさである。この辺意識してないとひどく主人公がすごく無防備な人に見えてしまうのだが、本当に思っていた世界と違ったということで。おそらく観客がそこに追いつく前に話が終わってしまうというかひと段落してしまうような気もするので、もう少し主人公がキャッチアップしていくスピードが観客に合わせるような形で段階踏まれているともっとわかりやすかったのかもしれませんが、あえてそこまで優しくしないことで、取り残されている感がこの映画の持ち味になっているのかもしれない。

人間の負の歴史として、今のウクライナ情勢のことももちろんあるが、そうでなくても見ておきたい一作。
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