一人旅

ニューヨーク 親切なロシア料理店の一人旅のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ロネ・シェルフィグ監督作。

二次大戦下の英国を舞台に女性脚本家の奮闘を描いた『人生はシネマティック!』(17)が素晴らしい出来だったデンマーク出身の女性監督:ロネ・シェルフィグが監督を務めた人間ドラマの佳作で、冬のNYを舞台に様々な事情を抱えた人々が織りなす人間模様を温かく描き出しています。

DV夫から逃れるため二人の子供を連れてNYにやってきた母親を中心として、刑務所から出所後NYの老舗ロシア料理店に雇われた男性、看護師として働きながら貧しい人々のためのボランティア活動に身を捧げる独身女性、少し頭が弱いため定職に就くことができず一先ずボランティアを手伝うことになった男性…らそれぞれに事情を抱え、幸せとは言えない人生を送っている複数の男女の人生がNYの街で交錯していく様子を描いた群像ドラマとなっています。

大都会NYの喧騒の中で、傷つき孤独を噛み締めている人々の心の触れ合いを、DV夫からの執拗な追跡に遭っている母子の極貧サバイバル&逃亡サスペンスを中心に登場人物それぞれの過去や境遇、人となりにスポットライトを当てながら映し出していくアンサンブルムービーで、他者に対する理解と優しさが傷ついた人間の心を回復させていく様が心温まる佳作に仕上がっています。

ロケ地はトロント、コペンハーゲン、NYの3か所ですが、物語の舞台となっているマンハッタンの冬の都市風景が綺麗に映し出されていますし、ロシア料理店の老オーナーを妙演した名優:ビル・ナイの存在が物語に風格を与えています。
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