RIO

イエスタデイのRIOのレビュー・感想・評価

イエスタデイ(2019年製作の映画)
4.5
今なお世界中で愛されるザ・ビートルズ。そんな伝説のバンドと同じイギリスに生まれたジャックは、幼馴染でマネージャーのエリーに支えられ活動するも全く芽の出ないシンガーソングライターの青年だった。
しかしある日、世界規模の停電と共に交通事故に遭った彼が目を覚ますと、そこは「ジャック以外の全人類がザ・ビートルズを知らない世界」になっていた…。

"The Beatles"。この世で知らない人などいないと言っても過言ではないほど有名なロックバンド。私も例に漏れず、信者レベルの父の影響で幼い頃からほとんどの曲を聴いて育ってきました。多分、生まれて初めて"ミュージシャン"と認識した存在なのではないでしょうか。

そんな彼らのいない世界に一人放り込まれた主人公という時点で面白い設定ですが、監督はダニー・ボイル、脚本は個人的に大好きなリチャード・カーティスというのでもうずっと期待大でした。初めて劇場で予告を見た時もスクリーンでドラマティカルに名曲達が流されるだけでウルウルしてしまったほどだったので、これは心に余裕があるときにゆっくり観ないとと先延ばしにしていた結果、こんなに遅く駆け込みになってしまいました…笑
だけど本当に観に行ってよかった!結論から言うと、「ビートルズありがとう…」とその存在の素晴らしさを痛感した、心温まる作品でした。

ビートルズというメジャーで具体性のある題材を取り上げてはいても、リチャード・カーティス色は相変わらず強いので評価が分かれる所かもしれませんが、どちらも好きな私にとってはかなりドンピシャでした。
主人公役のヒメーシュ・パテルも初見でしたがすごく好感度の高くて感情輸入しやすい演技がよかったし、なんといっても健気な幼馴染役のリリー・ジェームズのハマりっぷり。あまりに可愛すぎてますます好きになってしまいました。彼らを取り巻く人物像もお馴染みの賑やかさですね笑
改めて噛みしめる名曲達にも音楽というもの自体の素晴らしさにももどかしい恋模様にも心揺さぶられ、後半はずっとずっと涙が止まりませんでした。エンドロールでも涙が引かず、終演後一人でトイレの個室でしばらく泣いたほど。

富や名声か、愛か、多くの人々にとってか、自分一人にとってか、何が幸せの正解かなんてやっぱり難しくてわかりません。
それでも私は、こんなに素敵な音楽の数々をあの音であの声でこの世に残してくれた、ビートルズの存在する世界に生まれて本当に良かった!
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