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風をつかまえた少年のmasatoshiのレビュー・感想・評価

風をつかまえた少年(2019年製作の映画)
3.9
干ばつの影響で飢饉に見舞われたマラウイ。貧困により退学となったウィリアムだったが、穀物を育てる方法を探すため図書館に向かい、1冊の本と出会う。

"図書館を使わせてください"

知識の重要さを感じる作品。
本で学んだことで何とかしようとするウィリアムと、乾ききった田畑を必死に耕す父。地面に刃を突き立てても何も変わらないことは誰の目にも明らかで、父も自分がやっていることに意味がないと恐らく分かっている。しかし、満足に教育を受けられていないであろう彼は、他に何もできないのだ。この対比こそ学問の重要性を如実に表している場面であり、非常に残酷だった。
また、義務教育として9年間勉強できる日本がいかに恵まれているか。そんなことに気付かされる。

努力できる人はもちろん素晴らしいが、努力すること自体が困難な環境にもかかわらず方法を模索し、周囲に働きかけられるウィリアムの様な人間は最も尊敬すべきだ。
初めて水が通った瞬間は思わず拍手をしてしまった。
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