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かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~のJAMのレビュー・感想・評価

3.1
まずは藤原千花を演じた淺川梨奈さんに拍手。漫画版とアニメのノリを完全に踏襲しきった演技が本当に凄かった。キャスティングに関しては、ポスター公開当初こそ『ヤバそうだなぁ...』と思ってたけど、動いてるのを見たら皆さん思いの外良かった。

肝心な本編だけど、前半(花火大会前まで)はエピソードの元々の面白さも相まってまぁまぁ良かった。藤原と石上の扱い方はもうちょいあるだろ、とは思ったけどこの時点ではそこに問題は無い。限られた二時間尺で二人の恋愛メインにするのは当然の判断だしね。
平野くんの会長は結構好きだよ。

で、花火大会だけどもこれが駄目だった。『生徒会の皆で花火大会が見たい』というのが原作同様の四宮の願いなんだけども、本作は会長との関係性を描くに徹しており藤原と石上は完全に物語の狂言回しになっているために、台詞の通りに四宮が二人に対してそんな感情を抱いているとは到底思えないってのが正直な感想。生徒会間にある人間関係が明白ではないのだ。
故に感動が薄い。
花火大会は本作の物語の山場であり、
アニメでも最終回のエピソードに位置づけられている。
後者は石上と四宮の関係性の補強として、花火大会以降のエピソードをその前に持ってきて感動の質を高めているんだけれども、そういう意図が本作はないのでイマイチ盛り上がりきらないきらいがあった。

エピソード選びの文句はオリジナル展開に繋がる後半にも言える。そもそもあの会長戦自体、生徒会組の上っ面のキャラクター性を押し出した物にも思えて愛を感じないから好きじゃないんですけどね。それぞれの良さを赤裸々に語るところとかあったけど、本来なら作劇としてそこをエピソードと絡めるべきではないのか。あんな一瞬のこんなことがあって〜、で有権者もとい観客の納得を勝ち取れると思っているのなら大間違いだ。最後の奴もノルマ消化みたいなノリで台無しでは?
あれはしなくていいと思うよ、別に......。
キャスティングに関しては文句はなかったので、エピソードの組み方さえ頑張ればいい物に仕上がったんじゃないかなぁと僕は思う。実写映画としては及第点だと思うけど、それ以上ではない。
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