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スキャンダルのkのレビュー・感想・評価

スキャンダル(2019年製作の映画)
5.0
もう2ヶ月もこの映画のことが常に頭の片隅にあって、ずっと少し苦しい。そしてこれからも付き合っていく。

これほどリアルに性差別の実態をあぶりだした"フェミニスト"映画のタイトルを"スキャンダル"にしたのがめちゃくちゃ粋。
このスケールながら最速で完成したのは、制作陣の優秀さは言うまでもなく、アメリカのマスコミがしっかり機能していることも大きいと思う。

実話を元にした中では唯一、メインキャストのマーゴット・ロビーが架空の人物とされている。実際の人物を描くには、描かれた側の負担が大きすぎるから。
でもFOXで働いた2人の女性の体験に基づいているそう。
架空の人物でありながら、1番身近な人物である悔しさ。

ハリウッドの第一線で活躍する俳優3人の演技に思う存分感じ入ったのに、モヤモヤと心にしこりを残して映画館を後にしたのは、ことある毎に思い出す。

そしてレビューを観てみるとチラホラ"女優さん3人とも美人すぎる!"
これ1番恐ろしい感想。あれほどの演技力と想像力を持ち合わせた女性に対しての敬意はないのか。
同じ演技をした男性でも、まず容姿を褒めるのか。
自分の無意識な差別意識に気づいた方が良い。(これは自戒も込めて)

シャーリーズ・セロン(他の役者も)の神業的特殊メイクはカズ・ヒロさん。
彼らしい無駄のない言葉選びの中で、シャーリーズ・セロンを称えるときは信頼関係がすぐに伝わった。
差別が存在しない関係は、強い連帯を生み、確かな未来をつくる。

今は第4波フェミニズムの時代と言われている。
"敵は男性そのものではなく、性差別だ"とすることは第1波から1本の太い筋としてあるけど、今は反性差別だけでなく、あらゆる視点でマイノリティとされる人々の連帯を強めるものとされている。

しかしどうやら権力の上で胡座をかき、古い考えにしがみつく者にとって、この第4波フェミニズムは眩しすぎて視界に入らないらしい。
しっかり向き合える人からどんどん彼らに覆いかぶさり、嫌でも目に入るようにしていかなければならない。

コロナウイルス禍で、感染対策に成功している国は、女性が長である確率が高いと言われてる。それはつまりその人達が本当に優秀なのはもちろん、"性別に関係なく優秀な人に国を任せる"社会が基盤となっているからだと思う。
特にニュージーランドのアーダーン首相なんて女性で若い!!
彼女の功績を知ってもなお、彼女について話す一言目が"アーダーンさん美人すぎる!"となるか?

日本は…あー…ここでは口を紡ぎましょう。

「君はフェミニストなのか?」
「まさか」
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