ユーライ

ブルータル・ジャスティスのユーライのレビュー・感想・評価

ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)
3.8
やたら記憶に残る。オフビートの暴力、という点でやはり北野武を連想。車をやたら動かしている辺り『その男~』の鈍重路地裏チェイスを思い出したが、あの初期作品群のような殺気立った空気ではなくもっと緩い。より日常系。タイトルバックがそこら辺のフリーソフトでも作れそうな超・質素具合から警戒させるが尺の長さがやはり異常である。よし犯人だ追跡するぞ!カット変わって既に追いかけっこが始まっている、くらいが普通の映画だと思うが、わざわざ後部座席から降りる→前に乗り換える辺りを収めているのが端的。このように終始緩慢に続くのでさっさとしろよとは思うが不思議と飽きない。ゾーニング、棲み分けがテーマと言えて広い室内によるドアの開閉、最後に自ら閉めるのはいかにも。オッサン漫才コンビのプロフィールだけ見れば嫌な人達としか思えないながらきちんと死んで欲しくないキャラクターとして描くのが当然ながら丁寧な感情移入の作業。二人が出て来ると安心するのに最後に暴力が発動するのは横並び、というのがこの映画の提示する非情さを象徴しているように思う。
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